ニックネーム:Mr.Pitiful
タイトルの "R 'n' S & B" は "ROCK 'n' SOUL & BLUES"。 "+ c" は, 最近聴き始めた Country Music 。
2007年10月29日(月)
Lonely Just Like Me: The Final Chapter
Arthur Alexander "Lonely Just Like Me: The Final Chapter" [Hacktone R2-271932]

1. If It's Really Got To Be This Way 2. Go Home Girl 3. Sally Sue Brown 4. All The Time 5. Lonely Just Like Me 6. Every Day I Have To Cry 7. In The Middle Of It All 8. Genie In The Jug 9. Mr. John 10. Johnny Heartbreak 11. There Is A Road 12. I Believe In Miracles
Live on Fresh Air, 1993
13. Introduction
14. Go Home Girl
15. "You kinda want to get paid"
16. Genie In The Jug
17. "I think that's how they heard me"
18. You Better Move On
19. "I started in the church"
20. Every Day I Have To Cry
The Hotel Demos
21. Solitary Man
22. Johnny Heartbreak
23. Genie In The Jug
24. Lonely Just Like Me
Live at the Bottom Line, 1991
25. Anna
The Hotel Demos(?)
26. Glory Road

http://www.myspace.com/arthuralexander

1993年に Elektra Nonesuch から American Explorer シリーズの1枚としてリリースされた "Lonely Just Like Me" (1.〜 12.) にボーナス・トラックを追加してリイシューされた Arthur Alexander のアルバム。
シールドを破って出てきたのが何ともチープな紙ケースで,それに裸の CD がはさみこまれていたので少しがっかりしたが,付録(?)が豪華だった・・・(^_^;)

オリジナルのものと新たに追加されたライナーノートに,詳細な録音データは当然としても,生写真風のポートレイト(内1枚には Dan Penn や Donnie Fritts の姿も・・・) のほか,興味深い資料も含まれていた。

当時の American Explorer シリーズ販促用のチラシ(縮刷版?) には Keith Richards のコメントが引用されていた。
Arthur Alexander の歌がイギリスの the beat-group generation にとってどのような意味を持っていたか? という問いに対してキースは,When the Beatles and the Stones got their first chances to record, one did "Anna," the other did "You Better Move On." That should tell you enough. と答えている。

葬儀の際に配布されたと思われるパンフレットの縮刷版も付いていて,そこに Pallbearers ( Dan Penn の最初のグループ名だが,もちろんここではその本来の意味「棺の付添い人」で使われている) として名前が挙げられているのは,Dan Penn や Donnie Fritts,Spooner Oldham など・・・。

収録曲のうち 1.〜 12. は,オリジナルの "Lonely Just Like Me" と同じ内容だが,曲順が一部変更されている。今回の順序が,プロデューサである Ben Vaughn の最初に意図したもの。
主なミュージシャンは,Spooner Oldham,Dan Penn,Donnie Fritts,Reggie Young,Mike Leech,Gene Chrisman。

13.〜 20. はアルバムの完成後,亡くなる約1ヶ月前に出演したラジオ番組を録音したもの。貴重なインタビューも含まれている。バックは Ben Vaughn を中心としたバンド。
葬儀のパンフには,His father played Gospel Songs on the guitar. と書かれていたが,インタビュー中で Arthur Alexander は,old blues guitarist だったと言っている。教会ではゴスペルを演奏していたかもしれないが,彼の父親は,週末になると近辺の安酒場で Blues を演奏するセミプロのボトルネック・ギタリストだった。ただ,お金にはならず,Arthur がギターや音楽に興味を持ち始めても,I never made a nickel playing music, and I don't want you taking that path. と言って,ギターに触らせなかったらしい。
インタビュー中には,著作権関連の話題もあり,細かなニュアンスまでは分からないが,Arthur が pay me と言っているのはよく聞きとれた。
当時,版権を持つ出版社との新しい契約についての話し合いが進んでいたようで,この約1ヵ月後に倒れたのは出版社とのミーティングの最中だった。新しく Ben Vaughn によって書かれたライナーによると,
Apparently, he wasn't feeling well during the meeting, but stayed put until the last piece of paper was signed, and then collapsed.

21.〜 24. は,アルバムの収録に入る前にホテルの一室で録音されたデモ。
21. は,Neil Diamond の曲で,Arthur 本人は彼の曲をアルバム中でも歌いたかったらしい。この CD のトラック 26 (パッケージやライナーには表記されていない) にも,やはり Neil Diamond の "Glory Road" という曲の鼻歌(?)が収録されている。その曲は,Sound Stage 7 から "Cry Like A Baby" とのカップリングでリリースされた(1969) ことがあり,↓ で CD 化されている。
◎ "The Monument Years" [ace CDCHD 805] -2001
Neil Diamond と言えば,あの "The Last Waltz" でのゲスト出演くらいしか接点はなかったのだが,中古ショップでのチェック・リストにまた追加が・・・(^_^;)


25. は,1991年9月に New York の The Bottom Line で録音されたもの。Donnie Fritts がエレピ,John Tiven がアコギでバックアップ。
Elektra の関係者がこの演奏に感銘を受けたことから,復活アルバムの企画が始まった。


取り立てて美声と言うわけではないし,さして声量があるわけでもなく,節回しが華麗なわけでもなければ,激しくシャウトしたりするわけでもない・・・それでも,この Arthur Alexander の歌が深く心にしみこんでくるのはなぜだろう・・・?

2007年10月29日 21時20分 | 記事へ | コメント(2) | トラックバック(0) |
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2007年10月06日(土)
Kip Anderson 1941 -2007
GRITZ さんのところで,Kip Anderson が亡くなったことを知ってから大分経つので,ちょっと間が悪いのだが・・・(^_^;)

Checker や Excello など,いろいろなレーベルでシングル盤をリリースしていたり,Nappy Brown (ストーンズも歌っている "Night Time Is The Right Time" を最初に歌ったシンガー?) とのデュエット・アルバム "The Best of Both Worlds" (未入手) もあるが,単独のアルバムとしては,以下の2枚だけのはず。

◎ Kip Anderson "A Dog Don't Wear No Shoes" [Ichiban/Teichiku TECX-25449]

1. Lonely Man (Chuck Armstrong)
2. A Dog Don't Wear No Shoes (Kip Anderson)
3. She Called Me Baby (Harlan Howard)
4. 20 Room House (Sam Mosley / Bob Johnson)
5. Your Sweetness Is My Weakness (Sam Mosley / Bob Johnson)
6. I Need You So (Larry Darrell)
7. State Of Shock (Richard Marks)
8. Wonderful (Kip Anderson)


◎ Kip Anderson "A Knife And A Fork" [Ichiban ICH 1160-2]

1. Private Tonight (Adams, Anderson, and Webb)
2. Pretty Woman (Richard Marks)
3. Without A Woman (Ivy, Penn and Miller)
4. Sweet Inspiration (Wallace Pennington, Lindon and Oldham)
5. So Sad To Be Lonesome (Williamson)
6. A Knife And A Fork (Kip Anderson)
7. Lonely Avenue (Jerome Pomus)
8. The Careless Things We Do (Stanley Banks)
9. Blue Moon (Hart and Rodgers)
10. Givin' My Love To The Other Man (Ronnie Lovejoy)

'60 年代後半に Excello からリリースされた曲は,最近めでたく再発された "Heart of Southern Soul" のシリーズに収録されているが,その頃にはもうヘロインを常用しており,'70 年代の終わりから10年間ほど矯正施設に入所させられていたらしい。その施設内で更生し,子供の頃になじんでいたゴスペルの世界にもどり,出所後にはゴスペル曲をリリースしている。

その後,1992年に Ichiban レーベルから初めてリリースしたソロ・アルバムが,"A Dog Don't Wear No Shoes" 。
手元にあるのは日本盤 CD で,解説(桜井ユタカ) と歌詞が付いている。邦題は 『復活!!/キップ・アンダースン』。
「犬は靴をはかない」という奇妙なタイトルの意味は・・・男を連れ込んで浮気をしていた女が,裏口から男を逃がした後,「あれはただの犬よ」 と言うので調べてみると,裏庭には靴の足跡が点々と・・・。犬は靴などはかない。そんな言い訳でごまかされるほどオレはバカじゃない・・・。一時は回心してゴスペルを歌っていた人間にふさわしい歌だとは,とても思えない・・・(^_^;)

桜井さんの解説の最後が 「もう少しソウル色を強く前面に押し出してくれれば申し分ないところだ」 という文句で終わっているように,サザン・ソウルを期待して聴くとがっかりするので,ご注意。ただし,Bobby Bland タイプのBlues 'n' Soul が好きな人には気に入ってもらえるはず。

Chuck Armstrong 作の 1. Lonely Man の「力強い歌いぶり」を気に入った桜井さんが,「この一曲で,K. アンダースンをもう一度どっぷりソウルの世界に引きずり込んでみたいと思ってしまった。社長の John Abbey に,是非ともこのことを進言するつもりだ」と書いておられるのだが,その「進言」が功を奏したのか,翌年リリースされた "A Knife And A Fork" は,Checker 時代の 3. Without A Woman と 6. A Knife And A Fork をセルフ・カバーしていることからも想像できるように,ソウル色が強くなっている。
Penn/Oldham の "Sweet Inspiration" や Doc Pomus の "Lonely Avenue" などのソウル・スタンダードも,歌・演奏ともになかなかだし,自作とされているナンバーも,どこかで聴いたことのあるようなメロディと雰囲気の曲ばかり。


1996年に Nappy Brown とのデュエット・アルバムをリリースした後は,再びゴスペルの世界にもどり,ラジオでゴスペル・ショーのホストを務めていたらしいが,この8月29日に心臓病のため,永眠。
ご冥福をお祈りしたい。

2007年10月6日 09時33分 | 記事へ | コメント(2) | トラックバック(0) |
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2007年10月02日(火)
アラン・ローマックス選集
『アラン・ローマックス選集 アメリカン・ルーツ・ミュージックの探究 1934-1997』 ロナルド・D・コーエン / 柿沼 敏江 [みすず書房]

伊達や酔狂で,民俗音楽を研究するために現地へ出向いて録音するなどという仕事はできないだろうとは思っていたが,この Alan Lomax は,想像以上に偉大な人物だった。まだ一部を拾い読みしただけだが,Brian Eno の,彼がいなければ「ブルースの爆発も R&B の運動もなかっただろう」という賛辞が,誇張でも何でもないことはよく分かる。

表紙カバーの前折り返しには「推薦の言葉」が掲載されており,裏表紙に抜粋されていた Eno による賛辞の全文と,Talking Heads の David Byrne による賛辞(↓)が掲載されていた。
 彼が探求したのは本当の意味でオルタナティヴな音楽だ。ローマックスが録音した実に多種多様な音楽とダンスは,音楽のつくり方や聞き方は一つしかないという類いのどんな考えをも吹き飛ばしてしまう。アラン・ローマックスによって,僕たちはこの世界を画一的で均質な単一文化になる怖れのあるものとしてではなく,様々なものを寄せ集めた大きなモザイク模様を映し出したものとして見ることができるようになった。ここにあるのは文化の倦怠を防ぐ一種の予防接種――いちばんいい意味において僕たちの心を圧倒するような音楽――である。  (デヴィッド・バーン)

Eno と David Byrne と言えば合作した "My Life in the Bush of Ghosts" があるが,調べてみると,ボーナス・トラックが付いてリイシューされていた。なぜか,Eno の初期歌物4部作や,このアナログ盤などは売らずに残してあるのだけれども,聴いてみたい CD は,増える一方だ・・・(^_^;)

カバーの後ろ折り返しに推薦の言葉を寄せているのは,ピート・シーガーとナット・ヘントフに,スタッズ・ターケルという人物。
くわしい目次などは,出版元である みすず書房のサイト で見ることができる。

付録 CD の内容は,以下の通り。
1. Comments on early days of collecting (1:16)
 父のジョン・ローマックスと収集を始めた頃についての話。
2. Go Down Old Hannah (2:38)
 「沈んでいけ,オールド・ハンナ」 アーネスト・ウィリアムズと集団。 [第1章]
3. "Poor Farmer" (story and song) (2:18)
 「哀れな農民」 [第1,10,19章]
4. Excerpt from "Mr. Ledford and the TVA" radio program (5:44)
 ラジオ番組「レッドフォード氏と TVA 」からの抜粋。 [第8章]
5. Excerpt from "Your Ballad Man" radio program (1:26)
 ラジオ番組「ユア・バラッド・マン」からの抜粋。 [第II部 序]
6. Comments on Spanish singing style (1:09)
 スペインの歌唱様式についてのコメント。 [第18章]
7. Cantar de Vendimia (grape trampling song) (2:24)
 「ぶどう収穫の歌」
8. Comments on the "Tralalero" singers of Genoa, Italy (0:17)
 イタリア,ジェノヴァの「トララッレーロ」歌手についてのコメント。 [第18章]
9. La Partenza (2:39)
 「出発」。イタリア,ジェノヴァの沖仲仕の宿で。
10. "Sing Christmas" introduction (1:07)
 「クリスマスを歌おう」のイントロ部分。  [第II部 序]
11. Mary & Martha Is Bound to Wear the Crown-O (1:44)
 「メリーとマータはきっと花冠を冠る」 [第33章]

あくまでも書籍本体がメインなのでオマケの CD としては十分だと思うが,これでは物足りないという人には,Rounder がリリースしている The Alan Lomax Collection のサンプル CD (↓) をお勧めしたい。
◎ V.A. "The Alan Lomax Collection Sampler" [Rounder CD 1700]

収録されている曲は,Rounder のサイト で試聴できる。

70ページほどのブックレットが付属していて,その Table of Contents は ↓ 。
Foreword
Words of support for The Alan Lomax Collection
Alan Lomax: One Man's Journey Through the World of Music
The Series:
  Southern Journey
  Prison Songs
  The Caribbean Collection
  The English, Scottish, and Irish Recordings
  The Spanish Collection
  The Italian Collection
  The Columbia World Library
  Deep River of Song
  Portraits
  The Ballad Operas
Saga of a Folksong Hunter, written by Alan Lomax
Track Listings and Song Notes for the Comact Disc
Selected Publications by Alan Lomax

もちろん全部英語なのだが,ありがたいことに,"Words of support for The Alan Lomax Collection" は,書籍のカバー折り返しに掲載されている「推薦の言葉」とほぼ同じ内容で,"Saga of a Folksong Hunter" は,「第19章 フォークソングの狩人(ハンター)の冒険物語」として訳出されていた (^_^)v
2007年10月2日 23時57分 | 記事へ | コメント(2) | トラックバック(0) |
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