ニックネーム:Mr.Pitiful
タイトルの "R 'n' S & B" は "ROCK 'n' SOUL & BLUES"。 "+ c" は, 最近聴き始めた Country Music 。
2012年03月10日(土)
『ブラック・カルチャー観察日記』
『ブラック・カルチャー観察日記 - 黒人と家族になってわかったこと』 高山マミ 著,P-Vine BOOKs 刊

第三者から見れば大したことのないように思えても,当事者にしてみれば切実な問題・・・というのは,巷にあふれているが・・・。

P-Vine BOOKs のサイトで,本書の目次や一部の内容が紹介されている。
http://p-vine-books.com/books/3653

この本を読んでいると,日頃,「音楽を楽しむのに肌の色など関係ない」 と公言している自分がいかに能天気であったかということを思い知らされる。
ただ,それでも,肌の色など気にせずに音楽を楽しみたい・・・というのは,方向性として,「理想」としては間違っていない・・・と思いたい。
本書の『オンチだっているさ』(pp. 134-141) の節に書かれている通り,黒人の中にも踊れない,歌えない連中がいるように,白人や我々日本人の中にも歌えて踊れるシンガーやダンサーはいっぱいいるのだから・・・。
「オンチな黒人も,歌の下手なシンガーをこき下ろす。自分のことは棚に上げて。」(p.144) ともある。
自分のことを棚に上げて他人をけなすのは,洋の東西を問わず,肌の色にも関係なく,全世界の人類共通の性(さが)らしい・・・(^_^;)

日アマゾンのカスタマーレビューで,「この本に書かれていることだけで黒人をステレオタイプすることなく、他の本も読んだほうがいい」とか「恵まれた人からの視点」などという書き込みがあるけれども,それらの批判に対しては,著者自身が「あとがき」(p.269) の中で見事に応えておられる。
> ものごとは「事実」がひとつのようで,実は違う。
> 「自分」が見たものと,他の人が見たものとで「事実」は異なる。
> そして,人の目で見たものじゃないところに,本当の「真実」が存在していたりする。
> これはあくまで,「わたし」の目から見たカルチャー論である。
> この本を手にとった方たちが,あまり語られていないブラック・カルチャーの一面を感じとり,少しでも興味を持ってくれることができれば幸いである。
> 「わたしの目」も,5年後,10年後にはきっと変わっているわけで,それはそれでまた楽しみだ。


本書の内容の中で,ぼくが個人的に感じた唯一の不満は,「sanger」の中に Sam Cooke の名前が見当たらない(p.143) ことでしょうか・・・。
(「sanger」 というのはスラングで,単なる「singer」以上の「歌い手に対する,最高の賛辞」なのだそうです。"singer と sanger" をキーワードにして検索していただくと,本書の元になったブログの記事を読むことができます。)
せめて Aaron Neville のように,singer にも sanger にもリストアップしていただきたかった・・・(T_T)
もちろん,そのように評価されているのは,著者の周囲のごく一部の黒人だけなのでしょうが・・・(^_^;)
白人の「sanger」のリストもあり,その中には Mick Jagger の名前が見え,さらには,その Mick と共に ↓ に参加していた Joss Stone も「sanger」として一部の黒人には認められているというのに・・・。
◎ SuperHeavy "SuperHeavy(+1)" [A&M UICA-1060] -2011


この本を読んでいて,時代と場所は異なるけれども,かつて同じような女性の写真家が1960年代に New York の Harlem で暮らした日々を綴った名著があったことを思い出した。
□ 『ハーレムの熱い日々 BLACK IS BEAUTIFUL』 吉田ルイ子 著,講談社文庫 刊

2012年3月10日 21時12分 | 記事へ | コメント(6) | トラックバック(0) |
| CHEAP TALK |
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おひさしぶりです、お元気そうなので安心しました(^_^;)
最近ブラック・カルチャーを感じられる映画を探していた時に、この本のことも知り、気になっていたところです。
しかし求めているのが60年代あたりのものだったので、現代の黒人生活の理想とギャップについて面白可笑しく書かれているような本書はパスしていました。
音楽の話題にもミックが出ててサムが出てこないのは残念ですね(笑)
でも取り合えず本屋で目を通してみたいと思います。

「60年代あたりのもの」を探していて,もし,まだ,吉田ルイ子さんの 『ハーレムの熱い日々』 が未読なら,まず,その本を読みましょう。
そして,もちろん,'60 年代のブラック・カルチャーも,それ以前からの歴史の積み重ねの結果であるわけですから,その「歴史」に興味が芽生えたなら,↓ という,本田創造先生の古典的な名著があります。
□ 『アメリカ黒人の歴史 新版』 本田 創造 著,岩波新書 刊

この『ブラック・カルチャー観察日記』は,確かに「面白可笑しく」読むこともできますが,それは,あくまでも野次馬的に第三者の立場から,そう読めるのであって,当事者にしてみれば,さぞかし切実な問題ばかりだったであろうことは,容易に想像することができます。
その「切実さ」を考えると,万一,ひょっとして,我が娘が,付き合っている相手として黒人を連れてきたとしたら,いくら人種的な偏見を嫌っている僕でも,慌てふためくことでしょう。
相手の男が大金持ちの資産家なら,黒人であろうと白人であろうと,たとえ宇宙人でも,一向にかまわないのですが・・・(^_^;)
はじめまして、musselwhite と申します。

以前より貴ブログを拝見させて頂き、ただただ溜息が出るばかりです。
何度か引用させて頂いたり、参考にさせて頂きました。

モダンジャズ、クラッシックから始まり、ゴスペル、ブルース と小学校三年生から50年間ただただ聴いてライナーには目もくれず タダ 聴くだけの 50年でした。

数年前から暇つぶしにブログを始めましたが、貴ブログを拝見し、拙ブログのお粗末さに嫌気が差して休止状態になって居ます。
音源は有っても、それに伴う文章が付いて行けないという恥ずかしい状態に耐えきれませんでした(笑)

これからも、この地にて修行させて頂きたいと思います。
宜しくお願い致します。
過分なお褒めの言葉を頂き恐縮です。
ただ,あまりハードルを上げられると,再開するのが・・・(^_^;)

当方も休止状態が続いておりますが,特に体調を崩しているわけではないものの,この 『ブラック・カルチャー観察日記』 をきっかけとして,↓ のような本を読んで,少々ウツ状態です。
□ 『アメリカ黒人の歴史 新版』 本田創造 著,岩波新書 刊
□ 『ハーレムの熱い日々 BLACK IS BEAUTIFUL』 吉田ルイ子 著,講談社文庫 刊
□ 『物語アメリカの歴史―超大国の行方』 猿谷要 著,中公新書 刊
 以上が再読で,「21世紀の次なる『アメリカ黒人の歴史』を目指して出版された」という ↓ は,新たに読みました。
□ 『アメリカ黒人の歴史』 ジェームス・M・バーダマン 著,森本豊富 訳,NHKブックス 刊
 いずれも「アメリカ」という他所の国の話ですが,人間が本来持っている「業の深さ」を考えさせられるような内容ばかりで,気分は落ち込む一方です・・・(T_T)

連休までには,なんとか再開したいと考えておりますが・・・(^_^;)
何はともあれ,今後とも,よろしくお願いいたします・・・m(_ _)m
Mr.Pitiful さん、お元気ですか?
休止状態が続いているので心配になってきました。
体は大丈夫でも精神的に疲れてられないかなと(^_^;)

今、紹介して頂いた吉田ルイ子さんの 『ハーレムの熱い日々』を読ませて頂いてます。
まだ序盤ですが、これ読みやすくて面白いですね。
興味深い内容ですし、本の厚さもそれほどなくて、さらさらと読めてしまいそうです。
良い本を教えて頂けて感謝致します。
ありがとうございました!
吉田ルイ子さんの著書には,同じ講談社文庫で 「ハーレムの熱い日々」 の続編のような,↓ もあるので,オススメです。
□ 「自分をさがして旅に生きてます」
ISBN-10: 4061831127
□ 「吉田ルイ子のアメリカ」
ISBN-10: 4061837648

最近落ち込んでいるのは,気が滅入るような「本」を続けて読んでいるだけでなく,↓ の CD のエラーも原因の一つです。
◎ V.A. "Nobody Wins-Stax Southern Soul 1968-75" [Kent CDKEND370]
 当初の情報より収録曲が1曲少ないのは,このレーベルにはよくあることなので,さほど気にはなりませんでしたが,ブックレットに,信じられない印刷ミスが・・・(?_?)
アマゾンで2回,タワレコで1回,計3回返品するという,生まれて初めての経験をしました。
現在,タワレコから印刷ミスのない商品の入荷連絡待ち・・・。
おかげで ↓ も,プレスミス等があるのではないかと疑心暗鬼で,素直に楽しめない・・・(^_^;)
◎ V.A. "Hall of Fame-Rare & Unissued Gems from the Fame Vaults" [Kent CDKEND 372]
 4. When It Comes To Dancing - Joe Simon
 ↑ が,Sam Cooke してます。
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