ニックネーム:Mr.Pitiful
タイトルの "R 'n' S & B" は "ROCK 'n' SOUL & BLUES"。 "+ c" は, 最近聴き始めた Country Music 。
2014年06月11日(水)
Ray Charles "Pure Genius"
Ray Charles "Pure Genius - The Complete Atlantic Recordings 1952-1959 (7 CDs)" [Rhino R2 74731]

Jerry Wexler の自伝本 『私はリズム&ブルースを創った』 を読んでいて,これまでは一部しか聞いていなかった Ray Charles の Atlantic 時代を一通り聴いてみたくなり,いろいろと探していて見つけたボックス・セット。2005年にリリースされていたセットから DVD を省いてパッケージを簡素化し,廉価盤としてリイシューされたもの。

Real Gone Jazz の CD 4枚組セットや,Warner Music の CD 5枚組セットなどもあるが,表題のセットは Atlantic からリリースされた全ての楽曲にリハーサル・セッションまで収録されたコンプリート集で,80ページものブックレットが付属している。コスト・パフォーマンスは悪くないし,音質も申し分ない。

「私がこれまでに仕事をした全アーティストのなかで,『天才』の称号がふさわしい者はわずか3人しかいない。その最初がレイ・チャールズだった。」(ジェリー・ウェクスラー 『私はリズム&ブルースを創った』 p.116)

十代の半ばからプロとしての活動を始めた Ray Charles は 「白人ヒルビリー・バンド」 と演奏したこともあったそうだが,その最初期のパフォーマンスは,Charles Brown や Nat King Cole のほぼ完全なコピー。

「偉大なる元祖ともてはやされる男だが,レイ・チャールズはじつのところ,吸収者で翻案者だった。まごうことなき芸術家であると同時に,商売っけのあるしぶとい生き残り組でもあった。初期はチャールズ・ブラウンやナット・コールの流行歌を小さなクラブで演り,食いつないでいた。」(同書 p.118)

そんな Ray Charles の転機となったのは,Guitar Slim 'The Things That I Used To Do' でピアノとアレンジを担当し,その曲が大ヒットしたことだった。
● Guitar Slim "Sufferin' Mind" [Specialty SPCD-7007-2]

◎ Guitar Slim "ATCO Sessions" [ATLANTIC 81760-2]
 後に Guitar Slim が Atlantic と契約したときのレコーディング・セッション(1956)↑ の様子も同書には詳述されている(pp. 108-10) が,それは破天荒そのもの。当然,Specialty でのセッションもかなり目茶苦茶だったらしい。Ray Charles はそれに参加することで「吹っ切れた」ところがあったのではないだろうか?
そして,その結果生まれた楽曲がヒットし評価されたことが自信につながり,自分も,やりたいように好きなように歌い演奏していいのだと思うようになったにちがいない。

Ray Charles は,最初に Jerry Wexler がプロデュースした New Orleans で行われたセッション(1953) で Guitar Slim の曲をカバーしている。
◎ Guitar Slim "The Chronological Guitar Slim 1951-1954" [Classics 5139]
Eddie "Guitar Slim" Jones Feelin' Sad (1952) @Youtube
http://youtu.be/1H09tcX1WTY


Ray Charles - Feelin' Sad @Youtube
http://youtu.be/9V-3RDE5Pxw

 ↑ でギターを弾いているのは,Edgar Blanchard 。
Gospel を歌っていた Sam Cooke が Pop の世界に足を踏み入れるようになったセッションは,やはり New Orleans で行われ(1956),そこでギターを弾いていたのも Edgar Blanchard だった。
EDGAR BLANCHARD - Let's Get It [Ric 954] 1958 @Youtube
http://youtu.be/z0q173CvXGw


Ray Charles と Sam Cooke には共通点がかなり存在するけれども,その「転機」となったのが New Orleans だったという事実も,その共通点の一つと言えるかもしれない。
「ニューオーリンズには,生ける,いまは亡き,超自然的伝説がそこらじゅうに存在する。さまざまな文化と原始の力がぶつかりあう地。カリブ,フランス,キューバ,クレオール,ケイジャン,南部ふうに揚げたアフロアメリカン・ブルースが衝突する場だ。」(ジェリー・ウェクスラー 『私はリズム&ブルースを創った』 p.108)

2014年6月11日 01時01分 | 記事へ | コメント(2) | トラックバック(0) |
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こんにちは。

中学の頃ミルトジャクソンとの2枚のアルバムを買った以外、何となく自分の心の中で何故か軽んじていましたレイ・チャールルスでしたが、英国の The blues Band が彼に捧げたアルバムを聴いてから心境の変化でしょうか此処でこのアルバムを知り直ぐに探して買ってしまいました。

まだ2枚しか聴いていませんがいいですね…良いアルバムを紹介して頂いて感謝しております。
こんにちは。
ぼくはこのセットで,Milt Jackson との "Soul Meeting" など,Jazz のアルバムを初めて聞き,ピアノが上手いのに驚きました。

最近は,こんな風に豪華なボックスセットのパッケージを簡略化して安価でリイシューするというのが増えています。
いくら値段が安くなっても数が重なると・・・(^_^;)
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