ニックネーム:Mr.Pitiful
タイトルの "R 'n' S & B" は "ROCK 'n' SOUL & BLUES"。 "+ c" は, 最近聴き始めた Country Music 。
2010年01月01日(金)
『リズム&ブルースの死』
『リズム&ブルースの死』 ネルソン・ジョージ 著,林田ひめじ 訳 (早川書房 刊)

新年早々取り上げるにはふさわしくないタイトルの本だが,「門松は 冥土の旅の 一里塚・・・」という句もあるくらいだし・・・(^_^;)

『スウィート・ソウル・ミュージック』 『ロックを生んだアメリカ南部』 も白人によって書かれていたが,この本を書いた Nelson George は,黒人。

著者によると,本書における 「リズム&ブルース」 は,音楽的な意味としては,ゴスペル,ビッグバンド・スウィング,ブルースなど,ブラック・ミュージックのいくつかのジャンルが合体し,新しいテクノロジー,とくにエレクトリック・ベースの一般化を土台として1940年代に生まれ,10年後,黒人起源であることを隠すためにロックンロールと呼ばれるようになり,やがてソウル,ファンク,ディスコ,ラップなどの派生的なスタイルを生む,新しいポピュラー・ミュージックであり,また,社会経済学的な意味としては,共通の政治的,経済的,地理的条件から生まれたブラック・コミュニティーにとって不可欠の構成要素であったと,定義されている。

本書の目次は,↓
 イントロダクション
1 哲学・金・音楽 (1900〜1930)
2 夜にひびく黒い声 (1930〜1950)
3 ニュー・ニグロ (1950〜1965)
4 ブラック・イズ・ビューティフル,そして混乱 (1965〜1970)
5 企業時代の救いの歌 (1971〜1975)
6 クロス・オーヴァー――リズム&ブルースの死 (1975〜1979)
7 同化の功績,レトロヌーヴォの台頭 (1980〜1987)
 エピローグ
 解説/ピーター・バラカン
 ノート
 索 引

表紙カバー裏に掲載されているスパイク・リーの賛辞 ↓
「黒人の音楽と,黒人が置かれている状況との直接的な関係を,ネルソン・ジョージはまたまた解き明かしてくれた。私たち黒人が人間として前進すればするほど,音楽が魅力を失っていくのは,とても残念なことだ。答はどこにあるのだろう?」
↑ の「答」が気になっている人,人種も生まれ育った環境も異なるにもかかわらず SOUL/R&B などと呼ばれる音楽を聴いて共感をおぼえる理由を知りたいと思っている人には,一読をお勧めしたい。この本を読んだからといって,直ちに,その明快な「答」が得られるわけではないが・・・。


もちろん,本書にも Sam Cooke に関する記述はある。
「3 ニュー・ニグロ」 中の 「コインのうらおもて」(pp.156-164) という節がそれで,コインの裏表として Sam Cooke と比較されているのは,Jackie Wilson 。
長くなるが,その最後の一節を引用させていただく・・・m(_ _)m

「R&B という隔絶した世界に住むあらゆるアーティストが夢に見た,白人への"クロスオーヴァー"を,クックは見事になしとげた。しかし,これははっきりと記しておかねばならないが,クックは自分自身の資金と時間を費やして仲間の黒人のところへ立ち戻り,他の若い黒人にチャンスを与え,自分が得たものを分け合おうとした。また,彼のそうした行動を促したのが,もう一人の黒人企業家アレクサンダーであったことも忘れてはならない。後にも先にも例を見ない成功の連続で,クックは黒人にとってアメリカン・ドリームの実践者となった。そしてその成功がまだ続いている最中に,彼は撃たれたのである。クックの死からちょうど2ヵ月後,マルカム X が暗殺され,アメリカの黒人は,二人の若く行動力溢れるリーダーを失った。二人は当時知られていた以上に親しい間柄だった。彼らの共通の友人カシアス・クレイが,ムハンマド・アリと改名して黒人の自立と誇りのシンボルになったように,その思想と理性を持ってすれば,この二人の倒れた戦士たちはその後10年間に起きた事柄の方向を大きく変えることもできたかもしれない。彼等が示した模範は,今もその意味を失ってはいない。」

少し誉め過ぎのような気がしないでもないが,Sam Cooke という人間が単なるシンガーとして以上の存在だったことは,いくら強調してもし過ぎることはないはずだ。


最後になりましたが,一応,このブログを御覧いただいている方々へのご挨拶を・・・。
旧年中は,どうもありがとうございました。本年もよろしくお願いいたします・・・m(_ _)m
気が向いたら,コメントをしてやってください。ツッコミどころは満載のはずですので・・・(^_^;)
2010年1月1日 00時05分 | 記事へ | コメント(4) | トラックバック(0) |
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